鍼灸師のお仕事40
35歳 女性。
胃痛を主訴として来院した。腹診すると、腹部に力なく膳部で動悸を触れる。痛みは軽く、圧痛はなく、食欲はあるが痛みを恐れてひかえている。大便は1日1行ある。生理不順 生理痛 貧血。
現症 既往症
胃炎、胃酸過多症、十二指腸潰瘍、、胃痛、、生理痛
【証一腹証
脈証は全体に細、緊または弱で重按すると右関上と左尺中が虚してい
る。つまり脾虚腎虚寒証型の脈である。左関上は軽按して虚、重按して
細、滴、実である。
腹証は全体に軟弱で、臍傍動悸、胃内停水、心下痞などがある。
灸証と治療法
脾虚腎虚寒証として復溜、三里(足)を補う。これによって急激な胃
痛は即座に取れる。同時に丘墟、衝陽、陽池を補うとよい。
腹部は関元、中腹、背部は脾兪、胃兪、三焦兪、腎兪を用いる。ただ
し、浅い刺鍼でよい。もし中腹に深く剌すと痛みが増す。
月経痛は三陰交の置鍼で治ることが多いが、梁丘で治ることもある。
要するに胃を温めると下焦が温まり、下焦を温めると胃が温まるのであ
る。
病理
本方は腎の陽気が虚したために中焦が冷えて胃痛、胸焼けなどを起こ
したときに用いる。
や痛飲が少ないことを意味している。
月経痛にも効くが、これは下焦の陽虚があるためである。そのときは
下腹部から腰にかけて引きつり痛む。
腎の陽気のことを『難経』では命門と名づけている。そうして、命門
は総ての元気の基だとして、これを三焦の原気ともいう。
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医案
腎の陽気が旺盛であれば、腎の周辺にある大腸や膀胱の働きが盛んに
なり、生殖機能も盛んになる。また下焦で陽気が盛んであれば、竈の下
で火が燃えているのと同じで、鍋に相当する中焦の胃の働きも盛んにな
る。中焦の働きが盛んであれば気血津液の生成も盛んになり、心の支配
する血も肺の支配する気も旺盛になる。つまり上焦の働きも盛んになる。
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