肺の生理
1-1肺の生理
「肺は気を蔵す、気は魄を舎す」(霊柩・本神)とある。これらの条文は肺が気に関係していることを示しでいる。そして「肺はもって栄衛陰陽をめぐらす」(素問・平人気象論)とあり、肺は全身の気の循環を主っているのである。魄は、肺の蔵している精気であり肺気を循環させる原動力である。肺気とは、陽気であり、すでに述べたことだが、体表にあって外界の温度や湿度や気圧の変化から身体を守っている。寒ければ腠理が閉じ、暑ければ腠理が開いて汗を出す。この腠理の開闔を活発にしているのが肺気であり陽気なのである。それで肺は皮毛を主るのである。
「肺は相傅の官、治節出ず」(素問・霊蘭秘典論)とある。これは肺が扶けるという意味である。心には君火がある。これが心包に出てきて相火になる。しかし、相火だけでは全身を循環できない。肺気によって全身に送られる。したがって、肺が扶けるのは心であり、心は肺を剋す関係になっている。つまり、心は常に肺気を必要としているのである。
「志にありては憂となす、憂は肺を傷る」(素問・陰陽応象大論)とある。憂いが肺臓の志だとある。正常な時はもの静かで孤独な状態を憂いとした。病的に憂い悲しむとか、愚痴が多いなど発散の状態として現われる。「肺は収を欲す」(素問・蔵気法時論)とある。肺臓は発散とは逆の収斂の状態を欲している。肺臓は収斂、肺気は発散循環の関係にある。
1-2肺の支配部位
皮毛・鼻などは肺の支配部位に属す。
「肺は身の皮毛を主る」(素問・痿論)「肺気は鼻に通ず」(三十七難)「肺は声を主る」(四十難)
皮毛は最も体表部にあって身体を包んでいる。皮毛を肺が主るとは、肺には身体を包む作用がある。即ち「肺は収を欲す」(素問・蔵気法時論)である。
皮毛の部分には腠理があり、開闔して陰陽の気を調整して外邪から身を守っている。皮毛は皮と毛の両方だが、体毛も肺が支配している。肺がもともと弱くて身体が冷えやすい人は体毛が多い。
肺の支配する皮毛で繋がっている部分がある。①鼻~気管~肺の内部で声を主るとのも肺の内部に属す呼吸器。②口・食道~胃腸~肛門にかけての消化管③のひ尿膀胱と子宮の内側の泌尿生殖器。これらの部分は外界に接し肺に関連している。肺との関連では、肺気が虚して陽気が循環しないと、これらの内側にも陽気が循環しなくなって冷えるのである。逆に肺に熱が多くなるとこれらの部位にも熱が停滞する。
学会旧教科書より引用改変
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